第4回 「KAKERU~明晰夢の果てに~」 ミュージカル公演

★7月20日(土)ホルトホール大分 OPENING CEREMONY

  

 安松良道氏と子どもたちの「奇跡の舞台」

 

  ミュージカル「KAKERU」公演

 

 

 

                 (ホルトホール大分統括責任者) 是永幹夫

 

 

 

 914()夜、ホルトホール大分の大ホールで上演された新作ミュージカル「KAKERU」は、大分に誕生した「奇跡の舞台」だと思う。高校生・中学生を中心に編成された50名の出演者による2時間の舞台が届けた感動は計り知れなく大きい。ミュージカル初挑戦で「奇跡の舞台」を創りだした主宰の安松良道氏と子どもたちに、カーテンコールで会場から大きな拍手が送られた。ホールのロビーでは立ち去りがたい観客と出演者の交流がいつまでも続き、集中力を切らさずに見事にやりきった子どもたちの笑顔と涙に、観客の皆さんも握手で応えていた。

 

ミュージカルの内容は、いまの子どもたちの置かれた状況を背景に、主人公の女性が、少女時代にいじめにあっていた頃に描いていた絵本の「つづきの物語」を紡ぎ、その主人公たちが夢のなかに登場し、孤独だった少女時代のトラウマを払拭させるために、女性を励まし、たくさんの勇気と元気をもらい新たなリスタートをきるために旅立つ、というストーリーで、ファンタジーあふれるなか、私自身の少年時代の想い出ともオーバーラップし、稽古拝見のたびに感涙した。

 

 秋田で長年、わらび座という日本列島の風土と歴史に根ざした創造カンパニーの経営と運営に携わってきた者として、ふるさと大分市に帰郷し、さまざまな分野で創造的挑戦をしている皆様と出逢った。なかでも、安松良道氏との出逢いは、いまの私に大きな影響を与えている。次世代のための舞台創造の真摯な姿勢、舞台の構築力と演出力と振付力はなみなみならぬものがあり、子どもたちへの指導もとても丁寧で、一人ひとりの資質と技量に心配りする姿勢は、感動的ですらある。氏のような優れた指導者がいることは、ふるさと大分の大きな財産だと思う。氏のクオリティへの執念、プロ意識の徹底、圧倒的迫力のダンスシーンの魅力、オリジナル・ミュージカル創造の総合力を、これからの大分の舞台創造の宝として見守っていきたい。氏のスタジオでレッスンを受けている子どもたちが、汗と涙と笑顔で創りだしたミュージカル「KAKERU」は、終盤で手話をともなって歌われた「ホルトの木の下で」(詞・曲/西野ナオト)の名曲とともに、ホルトホール大分の開館を祝うステージとなった。ホルトホール大分に携わる者として、深く感謝したい。